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佐保姫(さほひめ)

佐保姫バラ


佐保姫サボテン


佐保姫


   そよ風は佐保姫の裾さばきとも

 これは新進の俳人大堀柊花の春の句だが、さて季語は何であろうか。一見して「そよ風」のように思えるが実は「佐保姫」が季語なのである。五行説では春は東の方角にあたり、平城京の東に佐保山に住む女神を春の化身とした。都の西方、竜田山に住み秋の象徴とされる竜田姫と一対を成している。ちなみに古事記に狭穂姫(沙本毘売)の名が見えるが、これとは関係がない。
 古くから詩歌に登場し、大藏卿匡房の『詞花和歌集』の平兼盛の歌「佐保姫の糸そめかくる青柳を ふきな みだりそ 春のやまかぜ」 は有名である。もっとも詞書には「天徳四年内裏の歌合に柳をよめる」とあり、テーマは柳だったようだが…。
 また『新後拾遺集』には二条為重の「佐保姫の霞の衣おりかけて ほす空高き天の香具山」が載っている。以上二つの例からもわかるように、佐保姫は染織の神でもあった。

 謡曲『佐保姫』(世阿弥)も有名である。藤原俊家(ワキ)が奈良の春日明神に参詣すると、佐保山に美しい衣が見えるので登ってみる。そこでは一人の女(前シテ)が縫い目の無い布を晒している。俊家が話しかけると、女は佐保姫と名乗り、霞の袖に隠れて姿を消す。俊家がうとうとしていると妙なる楽の音が聞こえ、美しい花びらが降りかかる。やがて月光の中から佐保姫(後シテ)が現れ、白妙の裳裾を翻しながら舞い始める。

 弥生も既に半ば、心してご覧になれば春霞の中に佐保姫の美しい姿を瞥見できるかもしれませんよ。ところで佐保姫さまに写真を一枚お願いしたところ、随神(かんながら)の世界では肖像権が mixi 以上に厳しいとのことにて、已む無く春の花と和菓子の葛羊羹に化身されたお姿を紹介させていただく。
  
    (写真;上か葛羊羹ら佐保姫という名のバラ、サボテン、葛羊羹)
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