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彼岸雑感

ぼた餅


バイレイシ


 今日は春分。この日を中心にした前後7日間を彼岸と言う。その真ん中に当たるというので関東では「お中日」(おちゅうにち)とも呼ぶが他の地方ではどうだろうか。東海地方では御中日かもしれない…。
 この日は「春分に日」という国民の祝日で、秋の「秋分の日」と対になっている。今年は3月20日だが2年後は21日で、これに基き国民の祝日も年毎に閣議で日付を決めるようになっている。このように国家行事が毎年変更されるという例は世界で唯一である。
 彼岸は春秋が対になっているが、俳句の世界では単に彼岸というと春の季語となる。秋の彼岸の場合は、「秋彼岸」とか「後の彼岸」としなければならない。

 ところで春分ってどんな日? と聞かれて正確にこたえられる人が何人いるだろうか。試みに自分に問うてみたら、こんな答えが出た。 ・太陽が真東から昇り、真西に沈む日 ・昼と夜の長さが同じ日 ・お休みの日(祝日) ・お墓参りする日、 ・ぼた餅を食べる日…咄嗟には、こんな答えしか浮かんでこない。三つ目以下は子どもじみていてお恥ずかしい。殊にぼた餅は書くもがなの答えであるが私にはお彼岸とぼた餅とは切っても切れない関係にある。生家は神職だったから、普段の神前には生米か蒸した餅米が供えられていたが、彼岸になると母が必ずぼた餅を作った。それだけを楽しみに彼岸を待ち焦がれたものだった。

 ぼた餅は形がお釈迦様の頭に似ているので仏前に供えると聞いたことがある。そう言えば果物の番茘枝(バンレイシ)も「釈迦頭」(シャカトウ)の別名がある。理由は写真をご覧になれば、お解かりだろう。だから神前にぼた餅というのも変な話だが、母の説明ではぼた餅は牡丹の頃に作るから牡丹餅。萩の咲く秋の彼岸には「おはぎ」(お萩)と呼ぶのだそうである。地方によっては粒餡のものをぼた餅、漉し餡をおはぎとよぶらしいが詳しいことは判らない。後年、落語を聞きに行って、ぼた餅を「隣知らず」と呼ぶことを知った。もちはペッタンペッタンと杵で搗くので近隣に知れ渡るが、ぼた餅は炊き上がった餅米をスリコギで捏ねるだけだから隣知らずという訳である。これは根拠が明快で納得できる。同じ落語ネタで「半殺し」という別名もでてくるが、こっちも理由は明快だがちょっと遣い難い別称である。帰宅後、「隣知らず」の語源を調べたら、江戸時代に刊行された風俗百科事典のような本、『嬉遊笑覧』に出ていた。とすると、かなり昔から遣われていた言葉ということになる。

 今夜の食卓には、ぼた餅もお萩も無い。宵の口からヘシコと手製の松前漬でカンパリ・ソーダを飲んでいる。えっ? 彼岸とどんな関係があるかって? 何も無い。主治医から当分は禁酒を命じられているからである。早く日本酒でいっぱいやりたいというのが目下のヒガンである。

       (写真:牡丹に似たぼた餅と釈迦の頭に似たバンレイシ)
 
        春分偶成

    散策野畦残照紅 野の畦を散策すれば残照紅なり
    白雲鳥影春霞中 白雲 鳥影 春霞の中
    河畔花影春愁満 河畔の花影 春愁満ちたり
    却使人悲春分風 却って人をして春分の風を悲しましむ


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by 杜の小径  at 13:01 |  日記 |  comment (10)  |   |  page top ↑
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