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酒中花の詩

  波郷句碑  酒中花  波郷の墓 

     吹き起こる  
       秋風鶴を
         歩ましむ

 小春日に誘われるように深大寺まで杖を曳く。忌日は既に旬日を過ぎているが、波郷の墓に詣でる。「水仙花いくたび入院することよ」の句にちなんだのであろうか、黒御影の墓前には水仙の花が供えられていた。
 私は俳人ではないが、虚子に反抗して『ホトトギス』を脱退した秋桜子が好き。また、その門下である人間探求派と呼ばれる楸邨、草田男、波郷の作品に私淑してきた。なかでも波郷の句は私の文学観に大きな影響を与えたと、自分では思っている。
墓参のあと、裏山に在る句碑に立ち寄る。冒頭に置いたのは、その碑に刻まれた句である。波郷は結核治療のために長く清瀬の療養所に入院し、そこで最期を迎える。この句は病に瘠せ衰えた波郷が、気力を振り絞って文学に立ち向かう姿を彷彿させる。
 
 波郷には冬の作品に秀句が多い。これらの命を刻み込んだ作品を見るたびに、文学を志す一人として白刃で胸を突き刺される想いがする。最後に揚げた句の「酒中花」は波郷の愛した藪椿の一種で、波郷の墓にはこの椿が植えられていた。

   遠く病めば銀河は長し清瀬村
   雪嶺よ女ひらりと船に乗る
   霜の墓抱き起こされしとき見たり
   呼吸は吐くことが大事や水仙花
   雪はしずかにゆたかにはやし屍室
   寒椿つひに一日のふとこと手
   ひとつ咲く酒中花はわが恋椿

          (写真:波郷の墓、酒中花椿、波郷句碑)

   鶴の翳 藁塚の影 深大寺 (杜)
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by 杜の小径  at 07:22 |  日記 |  comment (4)  |   |  page top ↑
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