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初しぐれ

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   鐘で去り鐘つけば来る初しぐれ(杜)
   初しぐれ濡れれば黒し風見鶏 (杜)
   初しぐれ暖簾おろしてよりの客(杜)

 花屋に閼伽桶を返して歩き出すと俄かの雨。多磨霊園の半ばまで来ると風を伴う本降りとなった。家を出るときは暑いほどの陽気だったので傘の用意は無い。タクシー乗り場までの10分くらいの間に袖を絞るほどに濡れてしまった。2日も雨だったが、あれは一日中だらだらと降り続いた秋霖。今日の雨が初しぐれということになろう。

 しぐれは「過ぐる」を語源とする言葉で、初冬に降る通り雨をいう。そのため漢字では時雨と書く。万葉集には40例近くの作品があるが、次例のように時雨という漢字は遣われていない。古今集になると時雨の文字が遣われ、作例は12ある。ただ、万葉・古今両集とも、しぐれは秋の風物として詠まれている。

   春日野にしぐれ降る見ゆ明日よりは黄葉(もみじ)かざさむ高円の山(藤原八束)
   風はやみうきたる雲の行きかへり空にのみしてふる時雨かな(中務卿親王)

、初冬の通り雨とされたのは、かなり時代が下がってからである。話は跳ぶが、今年4月には六世中村歌右衛門五年祭追善興行として、時雨の夜の西行法師(梅玉)と遊女・江口の君(藤十郎)の出逢いを描いた『時雨西行』が上演された。

   大きなる蓑着せましをあはれなる時雨の中の古のうまやぢ(与謝野晶子)    
   こほろぎの今朝鳴く聞けば時雨降る庭の落葉の色ぞおもはる(若山牧水)
   
   きみを抱く
   貴船の宿の
   初時雨
   今宵を限りの
   紅葉を想う(杜)




 

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