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居谷里(いやり)湿原

ホソバサイシン  

居谷里湿原も二度目の訪問。若い頃に長野県教育委員会が主催した自然教育指導者講習会で参加したことがある。当時のことは殆ど思い起こせないが、初めて見たヒメギフチョウだけは忘れられない。当時既に、この蝶の食草ホソバサイシンが絶滅しかけていた。探し回って1株だけ見つけたが、時期が早いせいかヒメギフチョウにはお目に掛かれなかった。

 ツルウメモドキ、ハンノキ、イソノキなどの中で一際目立つのがカスミザクラとハナノキ。二つとも遠くからは薄く霞んだように見える。前者は淡墨色、後者は薄紅色に…。カスミザクラは幹に特徴があり、横縞が入っている。ハナノキは梢部分に花が付いていて目立たないが近づいてみると小さな花が可憐だ。

 帰途、渡辺さんが「エムオだ」と叫ぶ。指さす枝にマヒワが止まっていた。エムオとはM尾の意味、即ちマヒワの尾が魚のようにM型に切れ込んでいるということだった。また一つ利口になった。やはり自然観察には優れたガイドが必要だ。

 大峰高原の展望台から北アルプスの眺望を楽しんだ後、焼きカレーで遅い昼食を摂り、大町駅まで送っていただく。渡辺さんと再会を約して「あずさ26号」に乗る。

        (写真:左からホソバサイシン、カスミザクラ、ハナノキ)



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by 杜の小径  at 05:11 |  日記 |  comment (2)  |   |  page top ↑

姫川源流へ

2009_0417_074630-DSC_0147.jpg
 
ポォーポォーというフクロウの鳴き声で目が覚めた。窓の外は未だ暗い。渡辺さんの話ではロッジに隣接する湿原林の奥にフクロウが棲んでいるということだ。もう一度寝ようとするがお腹が空いて眠れない。このところ一日三度の食事を一種の義務感で摂っていたが、久しぶりの空腹感である。1日7,8㌔のトレッキングのせいだろう。気持ちがいい。
 1時間ほどしてから1階のリビングルームに下りてみる。暁暗の中で動くものがいる。シラカバの幹に金網で縛りつけた脂身にアオゲラがしがみ付いている。見ると直ぐ横の雪折れしたシラカバにもアオゲラが止まっている。前に来たのが食べ終わるのを待っているらしい。なかなかお行儀がいい。突然、樹林の梢を黒い影が走った。目を凝らすとリス。給餌台近くの木につかまったまま暫くじっとしていたが、人の気配を感じたのか再び梢を伝って何処かへ消えた。

 今日は車で姫川源流へ向かう。車がカラマツの林に入ったとき茶色の影が樹間を横切る。はじめはネコかと思ったが、一瞬立ち止まって振り返った姿はキツネだった。渡辺さんによるとキツネなどは珍しいことではなく、昨冬は親と逸れたカモシカの仔がロッジに迷い込んで来たという。そういえば途中に「熊が出ます。注意して下さい」という看板も出ていた。

 優しい名前に反して姫川は暴れ川だ。随所に大規模な崩落の痕が見られる。旧千国街道の面影を残す北小谷やダムサイトに車を停めて、ミヤマキケマン、アズマイチゲ、フユノハナワラビ、イワハタザオ、ホソバサイシンなどのほか、漸く綻び始めたエドヒガンザクラ、オクチョウジザクラなどを観察する。

 姫川源流域に入ると目に付くのはフクジュソウの群落。30年前に訪れたときは初夏で、腰まで伸びたフクジュソウを掻き分けるようにして源流に近づいたが、現在は木道が整備されて、軽装の女性がスケッチブックを広げていた。こんな処にも時代の変化は著しい。水源は一面に茂ったバイカモの間から清冽な清水が滾々と湧き出ていた。あの暴れ川の源流がこれかと、ちょっと不思議な感慨に襲われる。水源一帯に帰化植物のクレソンが茂っていたのが些か興醒めだったが…、30年前には無かった光景だ。
 隣接する親海(およみ)湿原にも木道とチップを敷いた遊歩道が設えられ歩き易くなっていた。ミズバショウ、ザゼンソウのほかにミツガシワの新芽が湿原を埋めていた。これが白い花を付ける6月ころ、もう一度訪れてみたい。

 夕方ロッジに戻ると、給餌台の陰からテンが顔を出していた。今日の温泉はSさんが白馬大雪渓直下の「おびなたの湯」へ案内して下さった。木流川に沿った湯は10㍍ほどの岩盤から源泉が流れ落ち、脱衣場の横が直ぐ露天風呂で白馬連峰の残雪を眺めながらの入浴は最高の気分だった。

              (写真:左からアオゲラ、リス、キツネ)








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by 杜の小径  at 05:03 |  日記 |  comment (0)  |   |  page top ↑

落倉湿原と風切地蔵

風切地蔵 2009_0415_141026-IMG_0335.jpgミズバショウ群

木崎湖、青木湖の周辺には落倉湿原、居谷里湿原、唐花見湿原、親海湿原など多くの湿地群がある。最初に訪ねたのは栂池の落倉湿原。ここはミズバショウ、ザゼンソウ、リュウキンカなどの水生植物が見ごろで、数は少ないがショウジョウバカマも可憐な姿をみせていた。
 
 私には、この湿原の入口近く、旧千国(ちくに)街道沿いにひっそりと立つ古ぼけた地蔵に関心があった。その名は風切地蔵。風害や疫病除けの地蔵と伝えられる。実は風切地蔵は他にもある。一つは白馬岳に連なる小蓮華山の山頂、もう一つは鬼無里に近い古街道の柄山峠に在る。落倉の地蔵は小蓮華山の地蔵を背にして、真っ直ぐ柄山峠を向いている。脇に建つ由来説明にも両者を結んだ線上に落倉の風切地蔵が建てられていると書いたある。この線で結界を形作っているお陰で、昔から風水害や冷害などが少ないと伝えられている。おもしろいのは地蔵の向きと冬至との関係で、小蓮華山から落倉、柄山峠の風切地蔵の方向は方位角118度で、 これはちょうど冬至の太陽が昇ってくる方向となる。つまり、小蓮華山から地蔵峠を結ぶ直線では、その上に位置しているポイントからは、同じライン上の南東方向のポイントは冬至の日の出の方向に一致しているというわけ。冬至は古代の太陽信仰では、 その日に太陽が死に、翌日、再生して生まれ変わる日とされる。こうしたところにも農民の祈りの深さが読み取れる。僅かな耕地で命を繋いできた農民たちは風 害、冷害に対して、ただ祈るしかなかったのである。この湿原の中央には立派な大山祇(おおやますみ)神社が祀られている。この神の使いは山犬(日本狼)である。狼が人間を襲わないように、また熊、猪、猿などから農作物を守ってくれるように、狼にさえ祈りを捧げてきたのである。
昼は渡辺さん推薦の店「山人」で名物の蕎麦を食べる。

(写真:左から風切地蔵、大山祇神社、ミズバショウの群落)





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by 杜の小径  at 04:52 |  日記 |  comment (0)  |   |  page top ↑

白馬紀行―花と野鳥を尋ねて

           白馬三山

 この季節に中央線に乗ると、車窓から春の移ろいを観ることができる。東京を出るとき散り始めていた桜は諏訪辺りでは満開。塩尻峠をトンネルで抜けると、未だ五分咲きの桜が目立つ。左手に青木湖が見えるようになると、線路脇には残雪が堆く、桜は蕾のままである。
白馬駅に降り立つと、青空にくっきりと白馬、杓子、鑓ヶ岳の白馬三山が浮かんでいる。そこから眩いほどの陽光が降り注いでいるのに、襟元を過ぎる風は刃物を当てられたように冷たい。

「いらっしゃい。お疲れさまでした」
 今回の旅のベースキャンプとなる「夢の山小屋 にほめの一歩」のご主人渡辺浩平さんが車で出迎えていて下さった。彼は白馬岳直下の落倉高原でロッジを経営する傍ら、毎月季節に合わせた自然観察会を催し、自らガイドを努めている。「夢の山小屋」というのは彼が自分で付けたキャッチフレーズで、実際は個室に浴槽、トイレを備えた立派なペンションである。
 車が高原地帯にかかったところでアトリの大群に出逢う。車窓からレンズを向けると、「小屋に着けば焼き鳥ができるくらいいるよ」と、相変わらず口が悪い。久しぶりの訪問だがマンサクとダンコウバイが咲く門や、ハンノキ、ヤチダモ、シラカバ、カラマツなどに囲まれた佇まいは以前と少しも変わっていない。
 二階の個室に荷物を下ろしてから一階のリビングでマスター自慢のコーヒーをいただく。彼は此処でロッジを拓くまで自由が丘で喫茶店をやっていたのでコーヒーの味は一流。

 林に面したロッジの窓は総ガラスになっていて、裏庭に接した湿原が一望できる。ミズバショウ、リュウキンカが咲いていて、野鳥の囀りが絶え間なく聞こえてくる。夕飯までの数時間に窓から観察できた野鳥は十種類近かった。
 各室に浴槽が、地下には男女別の大浴場もあるが、せっかく温泉のメッカにきたのだから、できれば温泉へ行きたい。ところで同宿者は東京の野鳥の会の皆さん12名。その中のSさんはスキーと自然観察が趣味で大型のキャンピングカーで奥さんと共に全国を回っておられる。今回も車で来られたので、滞在中は自ら運転して倉下の湯とか白馬温泉へ連れていって下さる。姫川に注ぐ松川のせせらぎを聞きながらの露天風呂は、旅の疲れを癒してくれる。

         (写真は白馬三山。左から鑓ヶ岳・杓子岳・白馬岳)





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