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by 杜の小径  at --:-- |  スポンサー広告 |   |   |  page top ↑

イタドリ抄

コピー ~ いたどり 
 
   虎杖(いたどり)を噛めば杳けし幼き日(杜)
 
 幼時を草深い田舎で過ごしたので、イタドリに関わる思い出が多い。額に残る傷痕はイタドリを採ろうとして崖から転げ落ちたときのものだ。こんな大怪我は別にして、ちょっとした切傷くらいはイタドリの葉を揉んで血止めにした。これはどの地方でもやっていたらしく、イタドリの語源をイタミトリ(痛み取り)とする説もある。
 筍に似た若芽は噛むと酸っぱい味がして、田舎の子には格好のオヤツだった。都会で暮らすようになってもその味が忘れられず、春先の登山や渓流釣のときには必ずイタドリを採ってきた。結婚早々のころ妻が真剣な顔で、もうイタドリは持ち帰らないでと言う。訳を訊くと、市のゴミ蒐集係が大量の葉や皮を見て、「この家はよほど困っているらしい。草を食っている」と話し合っていたという。それ以来、葉や皮は山に捨ててくることにしたが、イタドリ採りは止めなかった。ちょっぴり苦い、いや酸っぱい思い出である。
 
 独り身になってからも、「イタドリ狂い」は続いた。何年か前、麹町倶楽部の皆さんと高知へ旅行した折、名物の青空市場でイタドリを見つけた。婆さんが筵の上に並べて、それだけを売っていた。イタドリが商品になることを初めて知った。聞けば高知ではキンピラ風に炒めて食すると言う。全部買うから宅急便で送ってくれと頼むと、それはやったことが無いと素っ気ない。たしかにイタドリを買い占めて宅急便で送る客は滅多に居ないだろう。だが、ここで諦めては男が廃る。(大ゲサ…)道路の向かい側で凸ポンというミカンを売っている親父に「それ一函買うから一緒に、あのイタドリも送ってくれ」と頼み込む。はじめは驚いたようだが婆さんと顔見知りらしく、苦笑しながら「いいよ」と言ってくれた。段ボール一杯のイタドリをキンピラには出来ないから二日がかりで塩漬けにし、半分は自宅の冷凍庫へ。残り半分は嫁いだ娘に渡した。彼女は親に似ず出来の悪い娘だが、イタドリ好きだけは遺伝したらしく喜んで取りに来た。

 先日の白馬行では道の駅でタラの芽やギョウジャニンニク、コシアブラなどは手に入れたが、イタドリにはお目にかかれなかった。そこで今日は、予てから目をつけたおいた場所へイタドリ狩りに…。丸々と太ったのを折るとポキンと音がする。あの音は快感だ。幼児語でイタドリをスカンポと呼ぶのは、この音からきているのだろう。スイバをスカンポと呼ぶ人もいるが、あれはポキンと音がしないから誤りだと思う。
予想以上の収穫で処理に夕方までかかった。時間があれば他の調理法もあるが、明後日からまた旅に出るので取り敢えず全部を塩漬けにした。だが、私もイタドリ党に入りたいという奇特な方のために、特別な我夢流レシピを一つだけ紹介しておこう。

 貴方はルバーブを食べたことがありますか? 漢方で言うダイオウ(大黄)のことで、『赤毛のアン』には、ルバーブゼリー"rhubarb jelly"が出てくる。東京では荻窪と吉祥寺の自然食品店グルッペや青山の紀ノ国屋スーパーなどでしか売っていない高級野菜なんですよ。実はイタドリで、このルバーブ以上に美味しい高級ジャムが作れるのです。
作り方は簡単。①先ず茎を茹でてから30分ほど水にさらす。②次にザクザクと2~3センチの長さに切り、砂糖を加えて煮る。③茎がクニャクニャになれば出来上がり。このジャムに牛乳を注ぎながら混ぜていくと、牛乳がイタドリの酸味でみるみるうちにヨーグルトのように固まっていく。一度試して下さい。

 ところでイタドリを漢字で虎杖と書くことは知ってましたか? 僕はむかし俳句を齧っていたから春の季語として知ってはいたが、字源の意味は解らなかった。鼠を捉らえ損なった猫が足を挫き、イタドリの杖をつくならともかく虎の杖にしては小さ過ぎるとバカなことを考えていました。(汗)
 ところがところが、天下に隠れなき才媛と云われた清少納言が、同じことを考えていたのですゾ。『枕草子』に、「みるにことなる事なきもの、文字に書きてことごとしき」ものの一つに、「いたどりはまいて、虎の杖と書きたると、杖なくともありぬべき顔つきを」と書いている。即ち見た目には格別な事がないのに、文字に書くと大げさなものになる例に虎杖を挙げ、虎は杖がなくてもよさそうな顔をしていると書いているのある。実は虎杖とは漢名で「杖」は茎、「虎」は若い芽にある紅紫色の斑点が虎のまだら模様の皮に似ていることを指しているのである。仮名文学では紫式部と双璧をなした清少納言さんも、漢字のほうは疎かったのかな。旦那の摂津守・藤原棟世は漢学の素養も極めた教養人。寝屋の睦言のついでに「ねぇ、あなたちょっと教えて」と言えば良かったのに…。いつの世でもプライドの高過ぎる女性は扱いにくいということだろうか。

 明後24日早朝から再び旅に出て、帰宅は月末か来月早々の予定です。それまで皆さま、ご機嫌よろしゅう。改天見 再見再会(カイティシェン ツアイシェンツアイフォウ)

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