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季節のことば―安居

             の永平寺安居

 日本語には同じ表記でも、読み方や意味の異なる場合がある。安居もその一つ。これを「あんきょ」と読めば、安らかに暮らすこと。「やすい」と読むのは高知県北部の安居渓谷、大阪市天王寺区に在る安居神社、或いは人名など固有名詞に多い。

 今日、季節のことばとして取り上げる安居は「あんご」と読む。仏教か俳句に関心のある方以外には馴染みの薄いことばである。日本では陰暦4月16日から7月15日までの間、僧侶が托鉢などに出ないで一堂に籠って修業することを言う。本来はサンスクリット語のバルシャーバーサの訳で、雨または雨期を意味する。この時期は万物が成長・発育し、生物が子どもを孵したり産んだりするから出歩いてそれを妨げないようにという釈迦の教えに基づくと言われる。雨期の長いインドでは遊行(外での修業)に適さないという理由もあったようだ。その証拠に禅宗の大本山永平寺では豪雪で外出できない冬期に安居を行う。これを冬安居とか雪安居と言う。これらは、もちろん冬の季語。

 安居という季語には夏行(げぎょう)など類語が多い。夏断(げだち)は安居の間、僧や信徒が酒肉を断つことであり、この時期に書く書を夏書((げがき)、この時期に咲く花を夏花(げばな)と呼ぶ。

   湯葉の香の一椀賜ふ安居かな(時彦)
   夏行堂うしろの山を樵(こ)る日かな(零余子)
   夏断せむ我も浪花の世ぞ恋し(句仏)
   ひらがなの母にまゐらす夏書かな(静雲)
   胸許へ風を宥して夏花摘(希伊子)
   白々と障子しめあり冬安居(落葉女)
   若き僧の剃り跡あをし雪案居(杜詩夫)

          (写真は永平寺の安居法要)
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