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狼への郷愁

     2010021400カミ

    傷ついた狼よ
    北斗の下で眠れ
    淋しきものは
    みな
    北を目指す

    傷ついた狼よ
    荒野で休め
    おまえを
    癒せるのは
    一陣の風

 むかし創った狼の五行詩である。この他にも私の創作ファイルには狼の詩が沢山ある。それは私が、狼が好きだから…。こんな一行詩もある。

    冬野行く狼の尾の輝けり

    まっ直ぐに霜踏んで狼が行く

 日本の狼は1905年(明治38年)1月23日、奈良県大台ケ原で捕獲されたのを最後に絶滅したと謂われている。しかし、私の兄は夜道で数匹の山犬(田舎では狼をそう呼んでいた)にアセチレン・カンテラの火を尻尾で吹き消されたこたがあると謂う。家人は野犬だろうと言って信じなかったが、神職の祖父と私だけは信じた。生家は神職で伊弉諾尊、伊弉册尊を主神として祀っていたが別宮に大山祇命を祀り、山住神社と呼んでいた。その「お使い」が山犬(狼)で、その姿を描いた護符を出していた。その護符は、今も居室の壁に貼ってある。

 私が狼に惹かれるのは、そんな幼時体験に由るのかもしれない。が、一方では絶滅したものへの限りない郷愁のような感情も多分にある。若い頃、絶滅したと謂われるニホンカワウソが若しや居るのではないかと四万十川の上流で三日間野宿したことがある。ニホンオオカミも大台ケ原には生き残っているかもしれないと思ってはいるが、さすがに探検行は未だに果たさぬままになっている。

  (写真:左から故郷の山住神社、同 護符、最後のニホンオオカミの剥製)

 昨夜、壁に貼られた山犬の護符を眺めながら、急に秩父の三峰神社へ行ってみようと思い立った。そこの狛犬は、たしか山犬だった。ネットで調べると、果たせるかな次のような記述がみつかった。
三峰信仰の中心をなしているものに、御眷属(山犬)信仰がある。 この信仰については、「社記」に享保12年9月13日の夜、日光法印が山上の庵室に静座していると、山中どことも知れず狼が群がり来て境内に充ちた。法印は、これを神託と感じて猪鹿・火盗除けとして山犬の神札を貸し出したところ霊験があったとされる。それ以来「お犬さま」として崇めるようになった。さらに、この狼が盗戝や災難から守る神と解釈されるようになり、狼の護符を受けること(御眷属信仰)が流行ったと謂う。
 ついでに大山祇神を調べると、この神は天照大神の兄神で、天孫瓊々杵尊(ニニギノミコト)の降臨に際しその妃となった木花開耶姫命(コノハナサクヤヒメ)の父神にあたる。(古事記、日本書紀)すなわち、大山祇神は、天から天照大神の子孫の神々が降臨する前からこの国土(山河海)を守護していた神である。一般に「山の神」とも呼ばれるとあった。

 西武国分寺線、同新宿線、同池袋線を乗り継いで秩父鉄道三峰口までえ約2時間。三峰山頂に午前中に着くことができた。狛犬は記憶通りに山犬だった。三つ鳥居を潜って奥殿へ進む。晴れていれば雲取山の眺望を楽しめるが、午後からは雲が厚く垂れ込んで視界が全く利かない。一応ヤッケは用意してきたが標高2000㍍の寒さは、予想以上だ。早々に参拝を済ませて山を下る。道の駅「大滝温泉・遊湯館」で体を温めてから帰路へ。山犬には出逢えなかったが、すっきりした気分になれた。

       (写真:左から三峰神社、同社の三つ鳥居、山犬の狛犬)

 帰宅すると郵便受に宅急便の再配達通知が3枚も入っていた。届いた荷物は三つともチョコレート。そういえば今日はⅤalentine Day だった。二つは姪と友人からだったが、tokyuの宅配瓶は思わぬ方からだった。送り主は俳人の水原亜矢子さん。水原さんとは、一昨年の初夏、パレスホテルで開かれた「水無月乃俳句展」で初めてお目にかかった。一川塾と麹町倶楽部でご一緒させて戴いている下平さんが水原さんの主宰する「久珠」の同人という関係でお伺いしたのだが、早く行き過ぎてしまった。出直そうとしたら中から上品な婦人が「どうぞ、お這入り下さい」と声を掛けて下さり、開館まで小一時間ほど雑談を交わした。水原さんの伯父さんに当たる秋櫻子について話したと思うが詳しい内容は忘れてしまった。私は友人や知己の句会に駄句を投じることはあっても所詮は素人。今さら俳句の勉強でもあるまいと折角のご縁を得ながら、その後は無沙汰にうち過ごしている。ところが水原さんは、私のような者でも一期一会の縁を大切に思って、こんな心遣いをして下さる。省みて忸怩たろものがある。 



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