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野禽有情  

    コピー ~ 野鳥写真 045  のがわ 006  のがわ 056

 どうしても気になることがある。水曜日の野鳥観察会で、私は確かにクイナを見た。「クイナだ」という私の声に、近くにいた数人が駆けつけた。そのときには、鳥影は既に枯れたヒメガマの深い茂みに消えていた。真っ昼間にクイナが姿を現すはずがない、バンだろうというのが同行者たちの意見だった。予報では明日から雨になるらしい。愛機をぶら下げて、もう一度、武蔵野公園を訪ねた。

 野川を見下ろす土手に腰を下し、カメラをヒメガヤの茂みに向ける。土曜日ということもあって、普段より人出が多い。大きな望遠レンズを構える私に、何か居るんですかと大声で声をかけてくる人もいる。カルガモ、コサギ、バン、ハクセキレイは訪れるが、目的のクイナは姿を見せない。
 クイナは飛ぶ力が弱く天敵に襲われやすいので、半夜行性で警戒心が強い。昼間は殆ど人前に姿を現さず、暗くなってから水辺で餌を漁るから、漢字では水鶏と書く。そんなクイナを昼間、人出の多い公園の近くで探すのは無理かもしれない。待つこと2時間余。諦めて帰りかえたときヒマガマの叢に動くものがあった。急いでシャッターを切る。近付いてファインダーを覗くと、もう鳥影は消えていた。カメラは茂みに蹲る姿を捉えていたが、それがクイナかどうかは判然としない。(写真左) シャイなクイナをレンズの前に曝すのは諦めたほうがいいかもしれない。

 帰途、野川の畔のサクラの木に数十羽のスズメが群れていた。(写真中央) 中には数羽のコゲラやシジュウカラが混じっている。折から上空には2羽のオオタカが輪を描いて飛んでいた。スズメなどが何種類かで混群を形成するのは、おそらくオオタカなどの天敵から身を守るための自然の智恵からであろう。

 私の書斎には「スズメの木」と題した絵が掛けてある。むかし私の作品に挿絵を描いて下さったアリマ・ジュンコさんの作品である。(写真右) 夕暮れの畑の中にぽつんと立つ大木に集まる無数のスズメ―叙情に満ちた風景に惹かれて昨年11月の個展で求めたものである。今日、私は野川河畔で全く同じ「スズメの木」を見た。いま、改めてモノt-ンで描かれた絵を見ると、必死に生きる小さな命の哀しみが伝わってきた。

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by 杜の小径  at 17:10 |  日記 |  comment (4)  |   |  page top ↑
Comments

No title

楽しいお話を有難うございました。
 野鳥は大好きですがシジュウカラとヤマガラの区別さえできません。
 次のお話を楽しみにしています。
by 星野智恵理 2009/01/18 09:15  URL [ 編集 ]

No title

 田舎に住んでいますと毎日たくさんの野鳥を目にしますが、こんな気持ちで眺めたことはありませんでした。
 先生のお話を読んで、詩を作る原点のようなものを教えられたような気がいたしします。有難うございました。
by 塩澤千佳子 2009/01/18 17:09  URL [ 編集 ]

No title

 智恵理さん、野鳥も山野草も名前を覚えると楽しみも関心も深まりますよ。
今度、図鑑をプレゼントしましょうね。
by 杜詩夫 2009/01/19 01:45  URL [ 編集 ]

No title

 千佳子さん、いつも、コメントを有難う。
 あなたが仰るように、自然の営みを注意深く観察することが詩作の第一歩です。
 それは深い人間観察にも通じることですよ。
by 杜詩夫 2009/01/19 01:51  URL [ 編集 ]
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