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久女忌(ひさじょき)

                 杉田久女

 きょう21日は、俳人 杉田久女(1890―1946)の忌日である。鹿児島県生まれ。本名赤堀久子。東京女高師(現・御茶ノ水大学)付属高女を卒業後、小倉中学美術教師 杉田宇内に嫁す。はじめは小説家を志すが兄の手ほどきで俳句を始める。

 1917年に初めて虚子が主宰する『ホトトギス』に投句。15年後に中村汀女らと共に同人となるが、2年後に理由も無く『ホトトギス』を除名される。女性だけの俳誌『花衣』を創刊したのが虚子の逆鱗に触れたとの説もあるが、その真相は謎のままである。このとき虚子は『ホトトギス』誌上に「従来の同人のうち、日野草城、吉岡禅寺洞、杉田久女を削除し…云々」と公告している。いずれも新進気鋭の俳人であるところから、虚子の門下への嫉妬によるという見方さえある。いずれにしても、このことがあってから久女の創作意欲は急速に衰え、遂に精神を病むに至る。結社主宰の偏見と独断が一人の天才を抹殺したのである。

 昭和21年の今日 午前1時30分、太宰府・筑紫保養院で、看取る人もなく57歳の生涯を閉じた。しかし彼女の人間主義と斬新な手法は、自ら虚子に絶縁状を叩きつけた水原秋桜子に引き継がれ、新しい俳句運動が起きる端緒となった。私個人も若き日、彼女の作品との出逢いで新しい詩境を拓くことができた。以下に久女の代表句を載せ、改めて薄幸の詩人の冥福を祷りたい。

   花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ

   紫陽花に秋冷いたる信濃かな

   谺して山ほととぎすほしいまま

   足袋つぐやノラともならず教師妻

   白妙の菊の枕をぬひ上げし

   鶴舞ふや日は金色の雲を得て

   風に落つ楊貴妃桜房のまま

   朝顔や濁り初めたる市の空

   ぬかづけばわれも善女や仏生会
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by 杜の小径  at 04:22 |  日記 |  comment (8)  |   |  page top ↑
Comments

No title

 おはようございます。よくぞ久女を取り上げて下さいました。
 一昨年の小生の誕生日に贈っていただいた『杉田久女句集』を
いま、改めて読み返しています。そのとき添えて下さった先生の
お言葉を忘れずに精進いたします。
 これからも、よろしくお願い申し上げます。
by 中村紫水 2009/01/21 07:28  URL [ 編集 ]

No title

 久女は私も大好きな俳人です。以前、お嬢さんが編集された
文集を読んだことがありますが、感性豊かな見事なものでした。
絵も描かれていて帝展で入賞されたことがあると聞いています。
Universal genius だったのですね。
by ブルースカイ 2009/01/21 12:04  URL [ 編集 ]

No title

 久女という方のことは、はじめて知りました。大正時代に、こんな立派な俳句をつくられたのかと感動しました。私も俳句をやってみたくなりました。
 虚子といえば俳句界の神様のような人ですが、隠された面もあったのですね。
by 磯貝あずさ 2009/01/21 17:05  URL [ 編集 ]

No title

 紫水さん、外出していて返事が遅くなりました。
 あなたの句風は久女に共通するものがあると感じ、
彼女の句集を差し上げたのです。
 
 短歌とか俳句とかフォームは違っても根底にポエジーの
無い作品は何の価値もありません。表現技巧を磨くことは
大切ですが、それはあくまでも二次的なことであることを
忘れないで下さい。
by 杜詩夫 2009/01/21 23:48  URL [ 編集 ]

No title

 ブルースカイさん、はじめまして。
 久女ははじめ小説家を志したほどですから、文章は巧みですね。
 絵は生来好きだったのか美術教師だった旦那さんの影響か判り
ませんが、40歳を過ぎてから帝国風景院賞金賞を受賞しています。
しかし、これは院展(現日展)とは違うようですよ。
 また、お立ち寄り下さいね。
by 杜詩夫 2009/01/22 00:04  URL [ 編集 ]

No title

 あずささん、こんばんは。
 
 作文基礎コースが間もなく修了するんだよね。今年は、いろいろな
ジャンルに挑戦してみようね。
 俳句もいいけど、最初は季語などに拘束されない一行詩のようなものを
やったらどうかな。
 
by 杜詩夫 2009/01/22 00:19  URL [ 編集 ]

No title

 杉田久女の作品は多少読んだことがあるけれど、生涯についてはほとんど知らなかったので興味深く読みました。才能のある人は大変だなあ、いつの時代も、と思いました。「根底にポエジーの無い作品は何の価値もありません。」という考えに共感しました。表現技巧・・・の方は意識したことがないのです。
by ユナ 2009/01/22 22:17  URL [ 編集 ]

No title

 ユナさん、こんばんは。いつもレスを有難うございます。

 あの時代に、このような作品をものした久女には驚くばかりです。私自身も大きな影響を受けました。

 余談ですが、私の作品ファイルは短歌、俳句、五行詩などの区別はありません。そのときの詩的インパルスを表現するのに最も適したフォルムを遣います。例えば俳句は私の場合は一行詩なのです。こんな感覚で詩を創るのも面白いですよ。
by 杜詩夫 2009/01/22 23:09  URL [ 編集 ]
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