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ムジナの噺

         たぬき      あなぐま

 ぽかぽか陽気に誘われ、野川を下って二枚橋まで歩く。主な目的は先日見かけたエナガの巣を見つけることだった。エナガは巣が完成すると外側にクモの糸で苔を貼り付けてカムフラージュするので、木々の新芽が伸びてくると見つけにくい。今のうちに在り場所を突き止めておきたかったが果たせなかった。
 帰りは野川の右岸、崖(はけ)の道を辿る。先日のブログで、大岡昇平が寄寓していた
冨永家の門が取り壊されたことを書いた。気になっていたが現場は青いシートに覆われ、工事の進捗状況は判らなかった。この家の右側に、「崖の道」から直角に延びる土地の人がムジナ坂と呼んでいる急峻な坂がある。昔の資料では両側に鬱蒼と木が茂って、いかにもムジナが棲みそうな雰囲気だが、現在では坂の上にマンションなどが建って坂も石段に変わっている。文学散歩で訪れる人のためにか、「ムジナ坂」と記したステンレス製の標識が建てられているのだが、今日見ると、その二箇所に大きな穴があいている。もうムジナはとっくに居なくなっているだろうが、そのうち坂の名前さえも忘れられていくのだろう。

 昨日、NHKの『ダーウィンが来た!生きもの新伝説「潜入!アナグマの地下迷宮」』を観た。内容は省略するが、最後の部分で気になるコメントがあった。日本にも昔からアナグマが生息していた。ただタヌキ と酷似しているのでアナグマと認識されていなかっただけ。地域によっては、これをムジナと呼んでいた―概ねこんな話だった。と、すると「ムジナ坂」に棲んでいたのはアナグマだったのだろうか。この話を聞いたら「武蔵野夫人」もびっくりすることだろうな~。

 びっくりついでに…、実は私の専攻は法律。六法全書を枕に暮らしたこともある。さて、法律を勉強した人なら誰でも知っている「狸・貉(むじな)事件」という判例がある。大正13年に栃木県下で禁猟期に狸を捕らえた男が逮捕された。男は狸は禁猟の対象だが貉は違うと無罪を訴えたたが、一審では動物学では狸と貉は同じであると有罪とした。ところが大審院(今の最高裁)では無罪となった。理由は動物学上はそうであっても、「同じ穴の貉」という言葉が存在するように、狸と貉が同一の動物であることが社会通念化しているとは言えない。即ち「事実の錯誤」として故意責任阻却が妥当であるとして無罪を言い渡した。

 ところで、私はムジナを漢字で「貉」と書いたが、皆さんがPCで変換すると、たぶん「狢」と出る。が正しくは「貉」である。どっちでもいいことのようだが、そうでないと困ることがある。漢字構成の左側の部分を偏というが、その一つに「豸」がる。私など学生時代は読み方が判らないから「ノ・ツ・ケモノ偏」と呼んでいたが、正しくは「ムジナ偏」である。だからムジナは「狢」ではなくて「貉」でないと困るのである。

           (写真:左からタヌキ、アナグマ)
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by 杜の小径  at 03:29 |  日記 |  comment (0)  |   |  page top ↑
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