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エナガの寝ぐせ

       ミツマタ  enaga-queue0803.jpg

 昨日は野川の源流、国分寺跡の真姿の池まで足を延ばしたが、今日は下流に向かって二枚橋まで歩く。水面近くまで枝を垂らした花に逢う。梅だ。加賀、豊後などの品種は既に花季を終えたが、薄桃色の枝垂れ梅は今が盛り。遊水池近くに淡い黄色の花が咲いていた。地味な花で危うく見過ごすところだったが、近づくとミツマタだった。この木は枝が必ず三つに分岐するため、この名が付けられた。漢字では三又とか三股と書かれることが多いが、正しくは三椏、椏は木の枝分かれの意味である。春の訪れを待ちかねたように咲くので、万葉集では次の例歌のように「サキサク」と詠まれている。「先咲く」の意である。

「春されば先ずさきさく(三椏)の幸くあらば後にも逢わむな恋ぞ吾妹」(柿本人磨呂)

 二枚橋を渡って野川公園北口からバード・サンクチュアリに入り、今日の目的であるエナガを探す。カワセミやオオルリなどの華麗な野鳥もいいが、小さなエナガは私の最も好きな野鳥のひとつだ。全長は14㌢ほどでスズメより少し小さい程度だが、その半分以上は尾羽根だから体自体は8㌘ほどしかない。日本でいちばん小さい鳥はキクイタダキで体重は5㌘ほど。その次に小さいのがエナガだ。ちなみにスズメは20㌘前後である。
エナガの巣作りは早くから始まり、先月には巣材の羽毛を口いっぱい咥える姿が観られた。エナガの巣は袋状で外装はコケをクモの糸で綴った独特の作りで内装には他の鳥の羽毛や動物の毛を大量に敷き詰め、木の股などにくくり付ける。

 ジュルリ、ジュルリという特徴のある鳴き声が聞こえる。長い尾羽でバランスをとりながら小枝の先に逆さまにぶら下がり、昆虫やクモを捕食している。こんなアクロバットのような動きができるのはエナガだけである。
 居た! やっと目的の一羽を見つけた。首が痛くなるのを我慢しながらエナガのサーカスを追い掛け続けたのは、この一羽、尾羽根に寝ぐせのついたエナガを見つけためだった。壺状の巣の底に卵を産むから、抱卵すると尾羽の先が寝ぐせがついたようにくるりと曲がる。この調子だと、あと半月も待てば雛が見られるだろう。いつの間にか霧雨が降り出し、風がひときわ冷たくなった。が、心の中には温かなものが吹き過ぎて行った。
 エナガは抱卵も子育ても雄雌が共同で行い、時として卵を産まない雌がヘルパーとして子育てを手伝うという珍しい習性がある。そのお話は、いずれ次の機会に…。

        (写真:左からミツマタの花、寝ぐせのついたエナガ)




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by 杜の小径  at 19:42 |  日記 |  comment (2)  |   |  page top ↑
Comments

No title

 いつも野鳥や野草のお話を楽しく読ませていただいています。

 ひとつ教えて下さい。前にマンサクの語源が「先ず咲く」だと聞いたことがあります。ミツマタの聞き違いだったのでしょうか。
by 星野智恵理 2009/03/05 16:38  URL [ 編集 ]

No title

 智恵理さん、こんにちは。
  
 マンサクの語源が早春に他の花に先駆けて咲くので「まず咲く」花という意味からという説は、たしかにありますね。そのほか花の様子が稔った稲に似ているので「満作」と呼んだという説もあります。
by 杜詩夫 2009/03/05 18:06  URL [ 編集 ]
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