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by 杜の小径  at --:-- |  スポンサー広告 |   |   |  page top ↑

 横沢入里山を歩く

横沢全景 ルリビタキ ウグイスカグラ

 拝島で五日市線に乗り換えると沿線の風景が一変する。車窓の北側に見えていた立川段丘が消えて、武蔵山系の山々が次第に迫ってくる。ケヤキ、クヌギ、コナラなどの梢で形成される稜線は未だ新しい緑こそないが、薄茶色の柔らかな輪郭が春の訪れを知らせている。
 これから訪ねるのは、あきるの市の横沢入里山。「入」とは関東地方の方言で谷戸(やと)、即ち谷の入り口をいう。横沢入は武蔵野段丘の最奥部、五日市丘陵とそれに囲まれた盆地とからなる地域で、雑木山に囲まれた谷地。棚田と湿地が広がり清冽な湧水が流れる里山である。大規模開発の危機を乗り越え、2006年に東京都で第一号の「里山保全地域」に指定された、いわば東京都最後の里山である。

 終点の武蔵五日市駅に着く。都心からは2時間近くかかるが癒しを求めて訪れる人が多いのか、駅とその周辺は意外に整備されている。街路樹は美しく刈り込まれたヤマモモ。自然のままの樹形にして欲しかったなあと見上げると、枝間に茶色の花が咲いていた。本来は暖地で生育する木なのに、懸命に花を付けている姿がいじらしい。
 駅の近くは道路も整備されているが、10分も歩くと林道に入る。車はもちろん駄目。人ひとりがやっと通れるほどの小径である。昨夜の激しい雨に洗われて狭い道の中央部は深く抉られ、砂利が流水の痕を残している。まるで川底を歩いているようだ。
道は尾根を目指す急峻な登り坂で、東側の深い谷はスギを中心にした深い樹林帯になっている。耳を澄ますとキクイタダキの声が聞こえる。日本でいちばん小さな野鳥で、針葉樹林帯を好む。望遠で写せたのは幸先がいい。途中に一箇所、湧水が溜まった池があり、トウキョウサンショウウオとアズマヒキガエルの卵を観察できたのもラッキーだった。

 尾根を登り切った処に標識があり、左 中央湿地、右 天笠山とある。天笠山まで往復する余裕はないので、真っ直ぐ横沢入の中央湿地を目指す。坂が下りにかかると針葉樹林が途切れて、道の両側はクヌギ、コナラなどの雑木が多くなり日当たりも良い。時々ルリビタキやツグミの姿を見かけるが、野鳥の出は予想したほど多くない。その代り道端にキジムシロ、タンポポ、ヘビイチゴなどの花が見られるようになり、珍しいテングチョウやミヤマセセリ、アカタテハなどの蝶が、まるで道を教えてくれるように後になり先になり現れる。周囲はしだいに明るくなり、頭上にはトサミズキやキブシ、ウグイスカグラなどの花が見られる。
 
 漸く横沢入に着く。ここの里山は宮田入、西沢入、草堂入、荒田入など七つの谷戸から構成され、谷戸の上流から水が湧出し、細流となって中央で一つの流れとなり、秋川に注いでいる。古くはこの水を利用して米作りが行われていた。一部は地元のボランティア団体が実験的な田作りをしているが、大半は休耕田というより荒廃した湿地帯となっている。
その一つ荒田入に沿う小道は、むかし特産の伊奈石を運んだ道で、上流には石切場跡もあるそうだ。

 湿地帯周にはアズマヒキガエル、トウキョウサンショウウオなどが生息し、タゼリ、ネコメソウの群落が見られ、周辺の里山はヤナギ、ミズキ、コナラなどの雑木林でリス、コゲラ、アカネズミなどの巣があったが姿は見られない。昼食を摂ったあとオオイヌノフグリとタンポポが咲き乱れる畔に寝転んで空を見上げると、雲ひつつない空の一点に、ゆっくりと輪を描くハイタカの姿。思っていたより野鳥や小動物の姿が少なかったのは、コイツのせいかもしれない。
もう一度尾根越えをする元気がなく、帰りは距離は長いが武蔵増子駅まで歩く。夏は谷戸を埋めるほどホタルが出るという。再訪の手だてを考えてみたい。

         (写真:左から横沢入里山、ルリビタキ、ウグイスカグラ)




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by 杜の小径  at 03:33 |  日記 |  comment (2)  |   |  page top ↑
Comments

No title

こんばんは。きれいな写真にうっとりです。きれいな空気が流れてくるようです。深呼吸したくなりました。ありがとうございました。
by ユナ 2009/04/06 20:31  URL [ 編集 ]

No title

 ユナさん、こんばんは。いつも書き込みを有難うございます。
 「横沢入」里山は初めて訪ねましたが、東京都の中にこんな場秀が残っていたことに驚きました。まさに「壺中の天」のような別世界でした。しかし、あそこは或る意味で廃墟なのです。むかし村人は谷に畔を築いて掌に乗るふどの小さな田を拓き、生活をしていました。しかし政府の減反政策で已む無く田を捨て村は無人の廃墟と化しました。やがて市町村合併で「あきるの市」ができると、開発の波が里山を飲み込もうとしました。そのときNPOの自然保護団体ができて、地域の何分の一かに昔の田を復旧し、地元の小学生などの田作りの体験などをさせ始めたのです。今回の里山歩きは様々なことを考えさせてくれました。
by 杜詩夫 2009/04/06 22:36  URL [ 編集 ]
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