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酸っぱい話

       zakuro.jpg     鬼子母神

     硬きものほど脆かりき柘榴(ざくろ)割る(杜)

     過去は過去 無口の柘榴 抉(こ)じ開ける(〃)

 私は、なぜか酸味の利いた果実が好きだ。断っておくが歴とした男子だから悪阻ではない(アタリマエダ)。林檎も糖度の高い新品種より、硬くて酸っぱい紅玉が好き。そのほかではプラム類。柑橘類も酸っぱいが、あれはカリッとした歯応えが無いのであまり食べない。所沢に居たころは庭に加賀白と豊後の梅の木を植え、毎年2樽の梅漬けを作っていた。現在は梅を八百屋で買っているが、南高梅は使わない。梅酒用の硬い青梅を、卵の殻を交ぜてカリッと仕上げる。一人暮らしになっても、梅は2樽漬ける。あまり自慢することではないが、最初の1樽分は半月で食べ終わる。先ず漬ける前の青梅を20粒ほどガリガリ。更に紫蘇を入れる前の薄らと茶色に変わった状態で1樽分を食べ終わる。野草の虎杖(イタドリ)は塩漬けにして、今も冷凍庫に入っている。そんな私だから、この季節の柘榴は私にとって猫に木天蓼(マタタビ)のようなもの。
 
 ところが近ごろは、柘榴を店頭で見かけることが少なくなった。スーパーなどには皆無、デパートでも置いている処が少ない。強い酸味が嗜好に合わないのか、硬い皮を剥くのがファースト・フードに馴らされた若い人たちに敬遠されているのだろうか。
 都心へ出たついでに、国分寺駅地下の“食遊館”に寄る。新しく整備された小金井駅前に大きなショッピングセンターが出来たので、“食遊館”へ来るのは久し振りである。実は目的があった。昨年、京野菜を扱うYで柘榴を求めたので、それを思い出して寄ってみた。
 あった。店の奥のガラスケースにピンクの座袋に納まった柘榴が3個だけ並んでいた。聞いてみると柘榴酒用にと頼まれて6個仕入れて、その残りだという。
  甲虫のように硬く艶のある皮をナイフで割ると、白い内皮に包まれた果実がある。臙脂色に輝く果肉は意外に少なくて、殆どが種である。そんなところが不人気の原因かもしれない。それを10粒ほど纏めて頬張る。至福の瞬間である。

 私以上に柘榴を好む婦人がいた。名を鬼子母神(きしもじん)という。「恐れ入谷の鬼子母神」と江戸っ子の駄洒落にも遣われた仏様で、昔から子どもを守ってくれる神として人気が高い。写真の鬼子母神像が右手に持っているのが吉祥果、即ち柘榴である。この仏様はまるで天女のような優しい顔をしているが、元を糺せば悪鬼だった。千人の子を持つ母親だったのに性格が残忍で、他人の子どもを盗んでは食べていた。これを聞いたお釈迦さまが鬼子母神が最も可愛がっていた末の子を隠してしまった。半狂乱で悲しむ鬼子母神にお釈迦さまが「子を想う親の気持ちが判ったか。これからは子どもの護り神になりなさい」と諭された。そして、もし人を食べたくなったら味が人肉に似ているという、これを食べなさいと吉祥果(ざくろ)を下さった。
 本当に人肉の味がするのかなと味わってみたが、判らなかった。なにしろ私、人を食ったことはあっても人肉は食べたことが無いので…。


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by 杜の小径  at 00:17 |  日記 |  comment (0)  |   |  page top ↑
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