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マンサクの花―万葉の丘―湖畔の冬花火

あ万作林 aマンサク  4aマンサク

    まんさくや小雪となりし朝の雨(秋桜子)

 浜松で東海道本線に、更に新所原で天浜線(天竜浜名湖鉄道)に乗り換えて約3時間半、近くて遠い三ヶ日までの旅である。特別な目的があって来たわけではない。今月早々から穂高か白馬の山麓をぶらつくつもりでいたが、雪が深いというので別の処を考えていた。昨年11月に故郷に近い浜名湖畔で開かれた小学校の合同同窓会に出席した。その折に付近の龍潭寺、奥山半僧坊などの古刹を訪ねたが、団体行動だったので奥浜名湖までは足を延ばせなかった。あのときに見損なった万葉の丘や姫街道などを歩いてみようと思い立ったものである。三ヶ日といえば蜜柑の産地として有名だが、その旬はもう終わっただろう。その代わり付近にはマンサクの自然群落があると聞いている。一人旅は宿探しに苦労するが、今回はネットでリステル浜名湖というホテルを予約できた。鄙には稀な気の利いた宿で温泉、サウナ、マッサージ(30分無料)、それにロビーには自由に使えるインターネット・ルームまである。結局、此処で3泊したが毎夕食にメニューが変わり、名物の鰻料理、スッポン鍋、蟹料理などを賞味できた。

 初日は、三ヶ日町鵺代(ぬえしろ)地区のマンサクの群落を訪ねる。漢字では万作と書くが、これは黄色い花を付けた様子が稲の豊年万作の状態に似ているからだという。この山も満開時には山全体が黄色くなるというが、未だ三分咲きの状態で豊年万作を連想することはできなかった。マンサクの語源については、早春に他の花に先駆けて「まず咲く」という説も有力だ。マンサク科の落葉小高木で、普通は寒冷地に生育する。三ヶ日のような標高の低い処に群生して咲くのは珍しい。それに樹齢100年以上、高さ5㍍前後のものが100本以上群生しており、乎那の峯の「マンサク」は日本に自生するものとしては南限にあるとされるとても珍しいという。このため静岡県の天然記念物に指定されている。見頃は今月の中旬から3月上旬頃になるだろうか。天竜浜名湖線の「奥浜名湖駅」がいちばん近いが、そこにはタクシーが無いので歩かれる方は手前の「三ヶ日駅」で降りるのが良い。
    
 浜名湖の支湖、猪鼻湖を望む丘陵一帯を「乎那(おな)の峯」と呼ぶ。これは万葉集の中に、この地区を詠んだ「花散らふ この向つ峯の 乎那(おな)の峯の ひじにつくまで 君が齢かも」という歌があることに拠り、この歌を刻んだ歌碑が建っていた。―意味は、花が散っている向かいの尾奈の峯が時を経て低くなって湖の泥(ひじ)に付くまで、あなたのお命が長く続いて欲しいというもの。これに因んで山中には万葉集に所縁の植物に短い解説板と歌を記してあったが、適切でない解説が見受けられたのはざんねんだ。例えばヤブツバキに「巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ思ふな巨勢の春野を」という坂門人足(さかとのひとたり)の歌を吊るしてあったが、巨勢の野は奈良御所市古瀬の一帯のことで、三ヶ日とは全く関係が無い。それに歌意は(巨勢山に列をなすように並び咲く椿を「つらつら椿」と申しますが、それにあやかってよくよく見ては思い起こします)となり、歌意から見ると「思はな」が適切である。「な」を詠嘆や念を押す働きとすると、かなり無理がある。「ふ」は「は」の誤記と思われる。マタ、ヤマユリのプレートに「道の辺の草深百合の花笑みに笑まししからに妻と言ふべしや」と歌を記してあったがが、歌意から推して草深百合ヒメユリと解すべきであろう。、
 なお三ヶ日中学の校庭には、前記「乎那の峯」の歌と共に「引馬野(ひくまの)に匂ふ榛原(はりはら)入り乱り衣匂はせ旅のしるしに」という奥麻呂の歌碑も建っていた。大意は(引馬野に美しく色づく榛の木の原に入り交じって衣に存分にその香を染み込ませるがよろしかろう。それこそ旅のしるしとなりましょう)となる。浜松市内には引馬坂、引馬城址などの地名も残っているから、この地方をさすことは間違いないようだ。市内には万葉植物約300種、曲水用の小川、資料館などが完備した「万葉の森公園」もある。

          (写真:左からマンサクの群落、マンサクの花、万葉歌碑)   

 あ常夜灯 あ 華厳寺 ああ362号

 翌日は、予てから気になっていた姫街道(ひめかいどう)を歩く。これは東海道見附宿(静岡県磐田市)と御油(ごゆ)宿(愛知県豊川市)を結ぶ東海道の脇街道。浜名湖の北側、本坂峠を越える道で東海道新居関所の厳しい取締まりを嫌った大名の妻女などが利用したからという説、舞阪宿・新居宿間の「今切の渡し」の「今切」を不吉として避けたという説などがある。
 東名高速をはじめ新しい国道の開通で一時は荒廃しかかっていたが、地元の努力で常夜灯など遺跡の修復や案内板の設置などが行われ、最近はマウンテンバイクでツアーする若者なども増えているという。実は高校生の頃、友人と自転車で姫街道を踏破したことがある。その際、鏡岩、狸井戸、狐塚など民話所縁の旧跡を記憶していたが、急ぎの一人旅で再会は果たせなかった。脇堂を真っ赤に塗った華厳寺は再訪できたが、当時は無かった生木のイヌマキを使った山門を見て、流れた歳月の長さを思わされた。

        (写真:左から常夜灯、華厳寺の山門、姫街道―左下は国道362号)
  
   あふゆはなび  あ 手筒花火

 ホテルの薦めで帰京を一日送らせ、特別イベントの「冬花火」を観る。尺玉の打ち上げ、スター・マインの連発、中国花火など、漆黒の湖が舞台だけに、都会で観る花火より迫力がある。圧巻はこの地方独特の手筒花火。半裸の男性たちが火薬を仕込んだ筒を抱えて登場し、火の粉を浴びながら花火を上げる。火薬は全て自分で詰めるが、詰め方を誤ると筒が爆発して命を落とすこともあるという危険な業だ。上げ終わった空筒は玄関の鴨居に飾って厄除けにするという。

       (写真;左から湖上の打ち上げ花火と手筒花火)

【追記】ホテルの使い慣れないPCで疲労困憊、読み直さずにアップします。もし誤字脱字がありましたら、平にご容赦を。明朝早く発って、東京ドームの「テーブルウェア・フェステバル」の最終日を観て帰ります。
 



  



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by 杜の小径  at 02:23 |  日記 |  comment (0)  |   |  page top ↑
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