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喉赤きつばくらめ―赤光忌

            茂吉
 
    のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて
        足乳根の母は死にたまふなり
          
        *玄鳥=つばくらめ 屋梁=はり 足乳根=たらちね

 これは齊藤茂吉の処女歌集『赤光』の中に、「死にたまふ母」と題されて載った59首の中の1首です。小学5年から短歌を始めた私は次第に定型と情緒過多の詩形を飽き足らなく思うようになり、師の木俣修の死(1983年)を機に短歌と訣別しました。とは言っても自分で作らないというだけで、良い短歌作品はを鑑賞することには吝かではありません。これは、そんな私の心に残っている歌の一つです。

 2月24日は茂吉の祥月命日(赤光忌)に当たるので、書架から『赤光』の初版を引っ張り出して眺めています。やはり「死にたまふ母」の一連は良い。茂吉の母の守谷いくが脳溢血で亡くなるのは大正2年5月23日で、茂吉は危篤の知らせをうけて山形上山(堀田村金瓶)に帰郷、火葬ののち悲しみのまま故郷近くの高湯酢川温泉に身を休めて母への鎮魂の歌を一気に詠みましだ。上掲歌も以下の2首も、その折のもので、殆ど『赤光』に収録されています。
 
  死に近き母に添寢のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる

  赤光のなかに浮びて棺ひとつ行き遥けかり野は涯ならん

 赤光は茂吉が母の野辺の送りの夜空に見た光で、歌集のタイトルもこれに拠ったのでしょう。初版『赤光』は10年後に改定版が出され、その際に初版から78首が外されましたが「死にたまふ母」59首はそのまま残されています。
 
    レクイエム茶房に聴きぬ赤光忌(杜詩夫)
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