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by 杜の小径  at --:-- |  スポンサー広告 |   |   |  page top ↑

酒のうた

   
  山よりも星座が近し冷やし酒(杜詩夫)
 
 今年の4月、白馬のヒュッテでスバル星座を眺めながら酒を飲んだ。今年は例年より残雪が深く出来れば熱燗にしたかったが山中で酒を温める手立てが無く、已む無く冷酒となった。だから正確には「冷やし酒」ではなく、「冷えた酒」とすべきだったろう。
 話は前後するが、このブログで酒の話をするのは、たぶん初めてではなかろうか。ときどき、俺は酒好きだろうか、酒飲みだろうかと自問することがある。これまで酒を飲んで
泥酔したことがない。言葉を換えるとシンから酔えないのである。かと言って、毎日飲まないと辛抱できないということはない。ところで泥酔の泥を どろどろした土、mudだと思っている人が多いが、実は中国の南海に棲む骨の無い動物なんだそうである。誰も見た人はいないから、架空のものだろうが…。
                
  わが想ひ われに語りて冷やし酒(杜詩夫)

「われに語りて」だから、もちろん独り酒である。この街へ越して来て8年になるが、これまで馴染みというほどの店は無かった。最近になって、やっと小さな居酒屋を見つけた。ごく普通の店だが、客筋がいい。今までのところ、大声で騒ぐ酔客に逢ったことがない。
化粧が薄くて口数の少ないママも気に入っている。

   雪降る夜はすべもなく寒くしあれば堅塩を取りつづしろひ糟湯酒(山上憶良)

 万葉集などにも酒の歌が出ている。この歌の糟湯酒とは、糟を精製しない粗製のドブロクのようなものであろう。古代では処女が飯(いい)を口中で噛んで発酵させる「噛酒」があったという。明眸皓歯の乙女が噛んだ酒を、一口飲んでみたい気もする。しかし先年、潮来の娘船頭の舟というのに乗ったら七十歳の婆さんだった例もある。噛酒の試飲はやっぱり止めておこう。

   白珠の歯にしみとほる秋の夜の酒は静かに飲むべかりけり(若山牧水)
   酒飲めば涙ながるるならはしの それも独りの時にかぎれり( 〃 )
 
 前田夕暮は牧水の歌に対し、「彼の行くところ山河あり、山河あるところ彼と酒とがあった。酒によって彼は彼の悲しみを深め、彼の純情一路の心境を研いた。秋の夜の孤独感が酒によって如何に慰められているか、冷たい響きと匂とを持っているこの歌によく流露されている」と記している。
 牧水は毎日一升以上の酒を飲み、43歳で早世した原因も肝硬変だった。夏の暑い盛りに死亡したのにもかかわらず、死後しばらく経っても死体から腐臭がしなかったため、生きたままアルコール漬けになったのではと医師を驚嘆させたとの逸話がある
 酒に生き酒で死んだ牧水を語るとき忘れてならないのは、妻で歌人の若山喜志子の存在である。次の二首には彼女の想いが籠められている。

   にこやかに酒煮ることが女らしき つとめかわれにさびしき夕ぐれ(若山喜志子)
   さびしければ共にすすめて手にもとる 盃なりき泣かんとぞ思ふ  ( 〃 )

「酒のうた」について書き出したら、キリが無い。記憶に残る作品だけを挙げておく。外国については、中国とアメリカの詩を一つずつ記して、この稿を閉じる。

   死ぬばかり我が酔ふを待ちていろいろの悲しきことを囁きし人(石川啄木)
   かの君の酒に酔ひけるよ人は知らじな酒のかなしみ(吉井勇)
   冷酒を口に含みて読み継げり詩はぐさぐさの死への歩(佐々木幸綱)
   焼酎の酔いのさめつつ見ておれば障子の桟がたそがれてゆく(山方代)
   渋谷川の音きこえくる居酒屋にひとりきて酌む北の国の酒(宮柊二)
   にわか雨を避けて屋台のコップ酒人生きていることの楽しさ(俵万智)

 中国には王維、王翰、杜甫と酒仙詩人が多く何れも兄たり難く弟たり難いが、今宵は于武陵の詩「勧 酒」にとどめを刺す。詩もいいが何よりも井伏鱒二の訳詩が傑作だ。
                      【井伏鱒二の訳詩】
  勧君金屈巵  君に勧む 金屈の盃    コノサカヅキヲ受ケテクレ
  満酌不須辞  満酌辞するをもちひず  ドウゾナミナミツガシテオクレ
  花発多風雨  花ひらいて風雨多し    ハナニアラシノタトヘモアルゾ 
  人生足別離  人生別離足る      「サヨナラ」ダケガ人生ダ   

 英詩では「Days of Wine And Roses」(酒と薔薇の日々)が心に残る。同名の映画の主題歌で、アンディ・ウイリアムスが唄い、アカデミー主題歌賞を獲った。ちなみに、主演はジャック・レモンとリー・レミックだった。
  
   The Days of Wine and Roses
   
   Laugh and run away
   Like a child at play,
   Through the meadowland toward a closing door,
   A door marked Never-more,
   That wasn't there before.

   The lonely night discloses
   Just a passing breeze
   Filled with memories
   Of the golden smile that introduced me to
   The Days of Wine and Roses and you
 
    【訳】酒と薔薇の日々
   酒とバラの日々
   遊び子のように
   笑いながら駆けていく。
   閉まりかかる扉に向かい
   草原を横切り
   “もはや再び”と
   前にはなかった文字が
   刻まれた扉へ。

   寂しい夜のしじま、
   酒とバラとあなたへの
   出会いをくれた
   光り輝く微笑みの思い出が
   いっぱい詰まった風
   やさしく吹き抜け
                    
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