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鮓の話(4)―思い出の田舎酢

 東南アジアから米作が伝えられた頃に熟れ鮓の製法も伝わったと見られ、魚と塩が入手し易い沿岸部で最初に作られ始めた。やがて次第に内陸部にも広がり、土地の特性を生かした鮎鮓、鱒鮓、鮭鮓など様々な熟れ鮓が生まれた。それらの中には秋刀魚、鰺、穴子、鮎、鱒などを使った鮓のほか、各種バラ鮓とか柿、笹などの葉で腐敗を防いだ鮓などがある。
 旅が多いので、各地で様々な酢を食べる機会があった。記憶に残るものをアト・ランダムに挙げると、次のようなものが思い浮かぶ。たらば寿し(釧路) 、蝦夷海鮮ちらしすし(旭川)、笹巻きえんがわずし(仙台)、吾左衛門酢(米子)、山菜笹すし(糸魚川)、鱒の寿し(富山)、鯵の押寿し(大船)、あぶりさんまの棒寿司(下田)、手桶ちらし寿司(美濃太田)、小鯛雀寿し(和歌山)、鯖めはりすし(新宮)、瀬戸内鯛寿司(姫路)、吾左衛門鮓(米子)、鮎ずし(人吉)、ふく寿司(下関)、穴子ずし(松山)、瀬戸の押寿司(今治)、鯖の姿寿し(高知)、あなごちらし箱寿し(小倉)…etc。その全部は紹介できないが…。(写真:左笹巻きすし、鱒のすし、鮎ずし)…etc。

 鳥取県米子の吾左衛門酢は、全国に名の知られた銘品。美保湾で獲れた鯖を使った熟れ鮓だが、他と違うのは外側に北海道産の真昆布を巻いてあるところ。鯖に昆布の旨味が沁み込み、同時に酢の乾燥を防いでいる。初代は江戸時代に千石船を所有する廻船問屋を営む一方、米問屋として年貢米などの取り扱いに当たっていた。従って酢に適した米が容易に調達でき、北前船を使って必要な真昆布を仕入れることができた。(写真:左から吾左衛門酢と江戸時代の盛業ぶりを伝える古文書)

 吉野の柿の葉酢は鯖の押し酢を柿の葉で包んだもので、素朴な美しさが印象的だ。吉野は大峯登山の起点となる処で、壬申の乱の大海人皇子(天武天皇)が隠棲したり、頼朝の追討を受けた義経が逃げ込んだりした秘境。海から遠い吉野で鯖酢が作られるようになったのには訳がある。むかし伊勢や紀州の漁師たちは、漁網に虫や貝がつかないように柿渋を塗った。その渋柿を求めて吉野へ来るついでに、鯖を持ち込んだ。鯖が腐らないようにと腹に大量の塩が詰め込んだから、吉野に着く頃には程よく塩が回っていた。これを薄く削いでご飯に載せたのが柿の葉鮓の始まりと謂われている。最近は鯖のほかに、鰺、鮭、エビなどを使ったものもある。それぞれの店が老舗、本舗を名乗っているが、私は中谷本舗のものを食べている。というのは、JR信濃町駅構内に売店があって、手軽に手に入るからである。改札を入って突き当たり、花屋の横の間口1間足らずの小さな店。ついでがあったら立寄ってごらんなさい。(写真:二つとも柿の葉酢)

 鳥取を旅したとき、賀露(かろ)という漁港で出逢ったシロハタ酢も忘れ難い。シロハタとは鰰(はたはた)のことである。変わっているのは、酢飯の代わりに酢で味付けした卯の花(オカラ)を使うところ。主に冬場に作られる家庭料理らしい。麻の実を混ぜてあって、爽やかな酸味の味を更に引き締めていた。画家で詩人のKさんに聞いた話では、島根の石見地方にも酢飯の代わりにオカラを使った酢があり、「おまん鮓」と呼ばれているそうだ。こっちは鰰でなく、鯖や鰯を使った握り酢らしい。調べてみると、オカラを使った酢は山陰地方でかなり広く作られているようだ。その標準的な作り方は、次の通り。
【オカラ酢の作り方】オカラを出汁、みりん、塩で調味し、卵の白身を加え、絶えず掻き混ぜながら炒りつけ、少量の酢を合わせてよく冷やす。別にイワシ、小アジ、コハダなどを普通のスネタのように作り、塩をふりかけて酢につけ、肉が白くはぜるころ引き上げて酢をきり、オカラを普通の握り鮨のように握り、上に酢魚を載せ、刻みショウガなどを添える。
 オカラ酢で思い出す人物がある。俳優の上吉こと上田吉二郎さんだ。新国劇出身の名脇役で、黒澤映画の常連のほか小津安二郎監督の『浮草』では主演の京マチ子に殺陣の指導もした。私より二回りも年長だったが、妙に気があって一緒に飲み歩いた。たしか脚本家の野田高梧さんの紹介だったと思う。上吉さんの話ではオカラ酢は自分の発明で、戦時中に馴染みの鮓屋に教えたら東京中の鮓屋が真似するようになったという。その原点が山陰の田舎にあったとは…。(写真:左からシロハタ酢、上田吉二郎さん)


*「鮓の話」は折をみながら、その歴史、地方の鮓、鮓用語などについて書いています。皆さんの故郷とか旅先で見聞された珍しい鮓をご存知でしたら、ぜひお知らせ下さい。

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