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秋櫻子忌

水原秋櫻子

   早咲きのコスモスゆれて秋櫻子忌(杜詩夫)
   雲の無き七月の空 群青忌( 〃 )
   青き花卓上に置き紫陽花忌( 〃 )

 7月17日は、水原秋櫻子の忌日。群青忌、紫陽花忌、喜雨亭忌ともいうのは、次の句に因んでものであろう。

   瀧落ちて群青世界とどろけり
   紫陽花や水辺の夕餉早きかな
   碧天や喜雨亭蒲公英五百輪

 冒頭の瀧は、那智の滝である。昭和29年、62歳のときの作。この年、秋櫻子は鳥羽、南紀、小豆島を旅行しているので、そのときのものであろう。昭和6年、秋桜子は「馬酔木」に、「自然の真と文藝上の真」を発表し「ホトトギス」と訣別した。この句は彼の謂う「文藝上の真」を表現した象徴的な作品である。瀧は具体的に描かれていないし、それを取り巻く青葉の説明も群青世界という語だけである。虚子流の作句方法では決して充分とは言えない。しかし結句の「とどろけり」で、瀧の音に包まれた青葉、そして自分をも見事に描き切っている。これこそ、「文藝上の真」であろう。   
 二番目の句は紫陽花の様子よりも、水辺につつましく生きる庶民の暮らに焦点を当て
て詠んでいる。秋櫻子は「ひるがへる芭蕉の葉より家輕し」について、「当時戦災で焼失した家が続々復建され、八王子・東神奈川間の沿線でも、小さな家が沢山建てられ、その完成してゆく早さは驚くほどであった。戦後の人々の気力の回復などにともなうことで、そこに住んでいる人たちは、元気よく働いて、狭い庭にかかげられた干物には、秋日がさんさんと輝いていた」ちう自解の言葉をよせているが、この句にもおなじような気持ちが
籠められている。               

   ナイターのいみじき奇蹟現じけり
   ナイターのここが勝負や蚊喰鳥
   わがいのち菊にむかひてしずかなる
   天国の夕焼を見ずや地は枯れても
   消ゆる灯の命を惜しみ牡蛎を食ふ 

 秋櫻子は早くから俳句と短歌に親しみ、東大医学部在学中に「ホトトギス」に入会して高浜虚子に師事する。その短歌的な詩的世界の俳句で注目を浴び、阿波野青畝、山口誓子、高野素十とともに 「ホトトギス」 の4Sと謳われるようになる。しかし客観写生、花鳥風詠から一歩も出ない虚子の俳句に飽き足らず、「ホトトギス」を離脱する。当時の虚子は俳壇の天皇と謂われた存在で、それに叛旗を掲げることは大変なことであった。4Sの一人高野素十は東大医学部の後輩で秋櫻子の紹介で「ホトトギス」に入ったのだが、虚子を代弁して口を極めて秋櫻子を攻撃した。昔も今も、どこの世界にも、こうした権力べったりの男は居るものである。このため一時は俳壇で孤立することになるが、やがて「ホトトギス」の沈滞したムードを嫌った人たちが彼の創刊した「馬酔木」に集うようになる。先ず五十崎古郷と門弟の石田波郷、さらに加藤楸邨、山口誓子、中村草田男なども加わり、後に女流俳句の新境地を開いた橋本多佳子も参加する。このように新時代の俳句への意欲に燃えた俳人たちが次々に参集して、「馬酔木」は「ホトトギス」に対抗する一大勢力となる。プロ野球をこよなく愛し、野球の句もたくさん作った。晩年は「いのち」を凝視した珠玉の作品を多く遺した。1981年7月17日、急性心不全のため逝去。享年88歳だった。
 
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by 杜の小径  at 12:18 |  日記 |  comment (1)  |   |  page top ↑
Comments

書中お見舞い

 先生、お変わりございませんか。
 昨夜は水見舞いのお電話を有難うございました。
幸い我が家は高台にあり浸水は免れました。ただ
峪が深いので雨が止んでも上流で豪雨がありますと
不意の出水がありますので、油断はできません。

 ところで、先日は嶋田青峰にtぐいてお書き下さり
有難うございました。戦後、虚子が小諸に隠棲したのも
文学報国会への忸怩たる思いがあったのでしょうね。

 夏はどこかへお出かけですか。こちらへいらっしゃって
くださるなら、喜んで陋屋を提供いたします。何のお構いも
出来ませんが、十人様くらいならお引き受け致します。
by 中村紫水 2010/07/16 15:16  URL [ 編集 ]
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