スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。





※ スパム対策の為、暫くの間コメントは承認制にさせていただいております。
  コメントを頂いてから表示までにお時間をいただく場合がございますが、
  何卒ご理解くださいますよう、お願い致します。(管理人)

by 杜の小径  at --:-- |  スポンサー広告 |   |   |  page top ↑

戦死やあわれ―ある特攻隊員の反戦詩

    竹内浩三   rakkasan.jpg

 戦時下の作家や詩人は何をしたか。その多くは日本文学報国会に入って、戦意高揚の片棒を担いだ。ある者は報道班員として戦場に赴き、大本営の謀略に協力した。戦後、彼らは何の罪に問われることもなく文壇に復帰した。軍部絶対という状況下で戦争協力を拒否することを彼らに期待するのは酷である―いわゆる期待可能性が無かったという理由で、その責任が阻却されてきた。これは法理論としては正しいだろう。しかし、文学者としての良心、魂に於いて忸怩たるものは無いのか。戦後65年、今さら彼らの戦争協力を責めるつもりは無い。ただ、そうした人たちにぜひ読ませたい、ある特攻隊員の詩がある。その人の名前は竹内浩三。(写真:軍服姿の竹内浩三と落下傘部隊の降下)
                 isebungaku21.jpg

 彼の存在を教えてくれたのは、藤波孝生さん(衆議院議員)だった。藤波さんとは大学は違うが、彼が委員長を務めた学生運動の全国組織で、一期後に私が委員長を務めたという関係。彼は代議士の傍ら明治神宮関係者で組織する俳句結社を主宰する俳人でもあった。そんなことから個人的にも親しく、彼の評論集『教育の周辺』も私がプロヂュースした。
 あるとき、『伊勢文学』という地元で出している同人誌を見せられた。そこに、竹内浩三の作品が載っていた。竹内浩三は藤波さんと同じ宇治山田市(現・伊勢市)出身で、旧制宇治山田中学(現宇治山田高校)の13年先輩に当たる。大学卒業後に入隊し、滑空部隊に配属された。この部隊は飛行機に曳航されたグライダーで敵陣に近付き、その真ん中にパラシュートで降下するという生還を期し難い特攻部隊だった。彼は軍務の中で小さな手帳に詩を綴り、それを他の本を刳り抜いた中に埋めて実家に送っていた。ここに紹介する作品は、1942年8月3日の作である。彼は戦争の終わる直前の1945年4月9日出撃、再び還ることはなかった。(写真:同人誌『伊勢文学』)

なお、次の作品「骨のうたう」を含む竹内浩三の反戦詩は、岩波現代文庫の『戦死やあわれ』(写真)で見ることができます。
41X87GR5SQL__SS500_.jpg
  
   ●骨のうたう

   戦死やあわれ
   兵隊の死ぬるやあわれ
   とおい他国で ひょんと死ぬるや
   だまって だれもいないところで
   ひょんと死ぬるや
   ふるさとの風や
   こいびとの眼や
   ひょんと消ゆるや

   国のため
   大君のため
   死んでしまうや
   その心や
   苔いじらしや あわれや兵隊の死ぬるや
   こらえきれないさびしさや
   なかず 咆えず ひたすら 銃を持つ
   白い箱にて 故国をながめる
   音もなく なにもない 骨
   帰っては きましたけれど

   故国の人のよそよそしさや
   自分の事務や 女のみだしなみが大切で
   骨を愛する人もなし
   骨は骨として 勲章をもらい
   高く崇められ ほまれは高し
   なれど 骨は骨 骨は聞きたかった
   絶大な愛情のひびきを 聞きたかった
   それはなかった

   がらがらどんどん事務と常識が流れていた
   骨は骨として崇められた
   骨はチンチン音を立てて粉になった

   故国の風は 骨を吹きとばした
   故国は発展にいそがしかった
   女は 化粧にいそがしかった
   なんにもないところで
   骨は なんにもなしになった。

                
スポンサーサイト





※ スパム対策の為、暫くの間コメントは承認制にさせていただいております。
  コメントを頂いてから表示までにお時間をいただく場合がございますが、
  何卒ご理解くださいますよう、お願い致します。(管理人)

by 杜の小径  at 23:56 |  日記 |  comment (0)  |   |  page top ↑
Comments
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

杜の小径

Author:杜の小径

杜のMENU
最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
カテゴリー
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。