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叶 静游さんの旅の詩(抄

自然
 5月15日のブログで、叶清游さんの闘病歌集『―癌との戦い―大切な時間』を紹介しました。
叶さんは11月に再々々手術をなさいますが、それに先立ちヨーロッパを中心にピアニストとして活躍されているお嬢さんの篤子さん一家とドロミテ、チロル、ザルツブルグ、ウイーンを巡る旅を楽しまれました。その折の作品を写真入りで送っていただきましたので、その一部をご紹介します。叶さん独特の硬質な叙景詩に仮託した透徹した死生観をご観賞下さい。この作品に感想を、ぜひお寄せ下さい。叶さんにお渡し致します。なお、叶さんは引き続きアメリカに滞在中のご次男一家を訪ね、10月24日に帰国後、11月1日の再々々手術に臨まれます。なお作品には奥さまの和田郁子さまが撮影された写真45葉がてんぷされていましたが、コピーできないので残念ながら割愛いたしました。掲載写真は村瀬ファイルからでZす。
チロルの朝

   病を余所に
   どうして
   ここにいるのか
   それは奇勝の
   ドロミテだから

   大自然が
   生きている
   無言の世界に
   生きている
   奇岩と湖のドロミテ

   形も色も
   文化を伝える
   残された時間を
   精一杯
   旅する

   旅に
   新しい発見がある
   秘境の風穴が
   涼風を送る
   天然の水に寛ぐ
   
   ミズリーナ湖から
   トレ・チーメを望む
   自然のしじまに
   自分の
   息吹きだけがある
         
ドロミテ1

   ドロミテの自然に
   溶け込む
   わが身は
   知らず知らずに
   癌の疼きを忘れる

   裾野から藍を貫き
   垂直に立ち上る
   懸崖の峰に
   薄い白雲が漂う
   ドロミテの奇勝

   予後の身を恐れて迷い
   決断しなかったならば
   きっと後悔しただろう
   担当医の顔を窺がわず
   来てよかったドロミテ

   静かに
   時が
   流れ
   うっとりと
   ドロミテに沈む

   アルモラーダの氷河は
   ドロミテの
   女王に相応しい
   陽光燦然と
   冠雪が耀く

   旅人たちが
   トリエステの丘陵に
   苔むす石畳を踏み
   古色豊かな
   教会を訪れる

   残り時間は
   ありがたいもの
   ゆとりをもって
   異郷の孫たちと
   未来を語りあう
                    アンドルみずうみ

   アントル湖畔を
   ドロミテの
   峻岳が取巻く
   青空が白雲を流し
   寂として音もない

   八十三歳の最後の月を
   ドロミテの
   幽鬼の山並みといる
   清浄な空気が
   癌を洗う

   屹立する
   ドロミテ岩峰は
   紺碧の空に
   万古の血脈も顕に
   生きている

   ミズリーナ湖の
   緑青の
   水底に
   誘いこまれる
   心のときめき

   ドロミテの岩峰が
   黙って見下ろしている
   悠久の思いを秘めて
   生き喘ぐ人間を
   見詰めている

   ドロミテの夕景は
   全山ことごとく
   赤肌に染まる
   寂として声なく
   咳だけが伝わる

   ドロミテの
   威容に
   小さな人間が
   たじろぐ
   超脱の世界

   優美な
   自然に
   感嘆する
   小さな私は
   流星のよう
コルティナの町

   真のブルーを
   知っているか
   ドロミテの映える
   空の色は
   澄んだ心の色

   静かなことは
   美しい
   穏やかなことは
   慎ましい
   ドロミテが光る

   ナビが示す道順を
   問い直しながら
   運転する
   娘に身を預けて
   ドロミテの曲がり道を抜ける

   夕餉のパンを
   美味しいと褒めれば
   朝食のテーブルに
   自製の焼き立てを
   贈ってくれたウェトレス

   ダム建設で
   四村一八一戸が沈み
   レッシュン湖となる
   湖上に教会の
   尖塔が顔を出す

   レッシュン湖は
   尖塔の影を写し
   緑水を湛える
   沈んだ村民の
   墓石が見守る

   緑一色の
   山並みが
   温かく
   フイッス村を囲み
   風光る
        
アルプスの牧場

   せせらぎの音フイッス村の
   草原に
   牛の鈴が
   軽やかに流れ
   アルプス下しが渡る

   チロルの
   牧歌的な秋に
   旅人は
   揺れる心を
   鎮める

   チロル帽の
   少年が笛を吹き
   旋律が風にのる
   牧草地に
   子馬が踊る

   チロルの朝に
   鐘の音が渡り
   尖塔が霞む
   時雨しめやかに
   身の締まる

   フイッスの村人が
   にっこり長女を迎える
   ピアニストを愛する
   文化が薫り
   子供たちの瞳が澄む

   日本人の殆どが知らない
   サンクトヨハンポンガウには
   私たち愛用の
   田舎の風を帯びる
   山あいの宿がある

   リーヒンシュタイン渓谷が
   昨夜の降雨で
   濁流と化し
   猛々しく
   岩を噛む
                     渓谷

   万丈の岩壁に
   緑が這い
   一陣の風が
   有情無情を洗う
   リーヒンシュタイン渓谷

   ゴーサウス湖は
   藍の湖面に
    山岳を倒影し
   静かさが
   没我の境に誘う

   ウイーンの空の下で
   娘、孫たちと
   四方山話に
   花が咲く
   大切な思いの一夜

   孫たちが育っている
   銀行の調査マンに
   心理学徒に
   高校三年生に
   ウイーンの空は明るい

   ウイーンのホイリゲに
   日本人観光客が寛ぐ
   民謡を奏でる
   楽師たちとの交歓に
   協和の輪が広がる

   緑のドナウを
   視界に治める
   デュルンスタインの
   水色の教会が
   青空に映える
                     ウイーン

   二〇一〇九月二0日を記憶しよう
   ウイーンの空の下で
   祖父母が開いた招宴は
   孫に「信ずる道を行け」との
   未来を卜するシグナルだ

   八十三歳最後の月は
   ウイーンにいる
   言葉の違う
   孫たちと
   ブロークンしている

   日本を巡る
   世界を旅する
   冠を正し
   青い鳥を追う
   決して落ち込まない


                    
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by 杜の小径  at 15:01 |  日記 |  comment (18)  |   |  page top ↑
Comments

頑張って下さい

 先日は、叶さんの歌集をお贈りいただき有難うございました。
あの歌集を読ませていただいた後だけに、作者の想いが胸に迫り
ました。再々々手術のご成功を、心からお祈り申し上げます。
by 磯貝あずさ 2010/10/05 20:13  URL [ 編集 ]

思いがけなく ドロミテ!

叶静游さんのドロミテ・チロルの作品群、とても打たれました。
こんなにたくさんの歌を書かれたのかと思うと、胸が詰まります。
小生は、1992年、まだ健在だった父を連れて、ドイツから、このあたりをドライブしたことがあります。当時8ミリビデオに撮っておいたものを、最近DVDにしてくれるサービスがあって、それを見て、懐かしい思い出と風景を偲んでいたところです。
チロルは、知り合いのやっているロッジ(ペンション)があって、もう10回くらい、夏場に行って滞在したでしょうか。そこからドロミテに行くバスツアーにも参加したことがあります。
叶さんとは、昔、むさしの歌会でお会いしたことがあり、また「平和を願う五行歌」のサイトでも、以前、随分と歌を拝見しました。どうぞよろしくお伝えください。
そしてまた、何より、村瀬さんにいただいた歌集も、大事に読ませていただいています。
by 高原伸夫 2010/10/06 02:30  URL [ 編集 ]

有難う

 あずささん、レスを有難う。ご病気を心配していたら、たくさんの
作品を送っていただいて、その気力に驚いています。元気な私たちは、
もっともっと頑張らなくてはね。
by 杜詩夫 2010/10/06 09:43  URL [ 編集 ]

不思議な縁ですね

 高原さん、お早うございます。そうでしたか、「むさしの」繋がりで、
ご存知だったんですね。小生も不思議なご縁で五行歌以外で繋がりが
あるんですよ。
 来年あたり、一緒に叶さんの全快祝いを遣りましょう。
by 杜詩夫 2010/10/06 09:45  URL [ 編集 ]

感銘を受けました

 お早うござします。閉鎖宣言が出されてからも、もしやと
毎朝覗かせて頂いていました。気持ちが通じたのかと思って
嬉しく存じます。今後も時々は、ぜひお願いいたします。

 叶先生の歌は男性的で、漢詩を読んでいるようです。内容も
澄み切ったご心境が吐露されていて、感銘を受けました。
 手術の成功を、心からお祈り申し上げます。
by 中村紫水 2010/10/06 10:21  URL [ 編集 ]

また素敵なお歌を

 先日は、ご本を有難うございました。

 叶さんはご病気なのに長い海外旅行をされたり、こんなに
沢山のお歌を作られたり、その体力と気力は凄いですね。

 早く良くなられて、また素敵なお歌を拝見したいです。

by 津田勢津子 2010/10/06 11:37  URL [ 編集 ]

手術が無事に終わりますように

 先生がご紹介くださったように表面的には風景を詠みながら、
それぞれの歌に作者のお覚悟のようなものが感じられて、大変
感動いたしました。
 手術が無事に終わりますことを、心よりお祈りしています。

by 藤森かおる 2010/10/06 13:47  URL [ 編集 ]

反省しました

 僕も一昨年ほとんど同じコースを回りましたので、懐かしく
読ませていただきました。写真は撮りましたが、文字では何も
記録しませんでした。もっと勉強しなくてはと、反省しました。

by 内田 晋 2010/10/06 19:10  URL [ 編集 ]

お大事に

 ご病気中なのに、ご旅行中にあんなに沢山のお歌を
作られたとに驚かされました。数ある歌の中でも特に、
お嬢さんやお孫さんに関する作品に胸を打たれました。
 11月の手術が無事に終わることをお祈りしています。

by 塩澤あゆこ 2010/10/06 21:54  URL [ 編集 ]

拝復

 紫水さん、お言葉有難うございます。叶さんは小生などより
遥かに先輩ですが、体力も棋力も小生など及びも付きません。
今度の手術も無事に乗り切られると信じています。

「杜の小径」は、今まで通りとはいかないでしょうが、皆さんかたの
強いご要望もありますので、できるだけ何か書くつもりです。
by 杜詩夫 2010/10/06 22:37  URL [ 編集 ]

拝復

 勢津子さん、レスを有難う。叶さんは必ずご病気を
克服されると信じています。回復の暁には更に深遠な
歌を作られるでしょう。それを楽しみに待ちましょう。
by 杜詩夫 2010/10/06 22:38  URL [ 編集 ]

拝復

 かおるさん、お言葉を有難う。あなた方の真心が天に通じて
叶さんは、必ず快くなられますよ。さらに深みの増した作品を
期待していましょう。
by 杜詩夫 2010/10/06 22:40  URL [ 編集 ]

拝復

 内田さん、レスを有難う。あなたも、行かれたことが
あるんですね。では感慨も一入だったことでしょう。
叶さんがお元気になられてからぜひお会い下さい。
きっと話が合うと思いますよ。
by 杜詩夫 2010/10/06 22:41  URL [ 編集 ]

拝復

 あゆこさん、僕も驚きましたよ。でも紹介した作品は
ごく一部で、送られてきたのは、この三倍もありました。
 叶さんは元社会党の指導者で都知事選にも革新派を代表
して出たほどですが、実像はとても優しい方です。
by 杜詩夫 2010/10/06 22:43  URL [ 編集 ]

No title

はじめまして。僕は23歳の学生です。この詩はどれも
大変心に沁みました。叶さんはご病気のようですが、早く
良くなられるようにお祈りしています。

by 真田圭太 2010/10/07 14:55  URL [ 編集 ]

No title

 再び歌集に目を通しました。
読み終わった後、自分に、問うてみたくなる。答えが歌の中にあるからです。強いお方です。0pもきっと成功するでしょう。頑張って下さいとお伝え下さい。
祈っております。又素晴らしい歌をお待ちいたしております。
 
先生もお元気で! 
by 勝子 2010/10/08 00:50  URL [ 編集 ]

拝復

 真田さん、レスを有難うございました。
 あなたのように若い方から共感のお言葉を戴いて
叶さんもお喜びになると思います。真田さんも詩を
作られるのですか。また、お立ち寄り下さいね。 

by 管理人・杜詩夫 2010/10/08 07:56  URL [ 編集 ]

拝復

 勝子さん、有難う。もう一度、歌集も読んでくれたんだね。
叶さんが聞いたら、きっと喜ばれるでしょう。あの棋力なら
オペは必ず成功すると、僕も信じています。

 天然鮎と天然舞茸、それと初めてのロウジ茸など、美味しく
戴きました。崇ちゃんに宜しくお伝え下さい。
by 杜詩夫 2010/10/08 08:28  URL [ 編集 ]
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