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季節の言葉―枇杷―

枇杷1


枇杷


 長崎の友人から枇杷が送られてきた。添えられた手紙によると、最近は燃料費の値上がりでハウスを止めて露地栽培に切り替える生産者が増えている。そのため昨年より出荷が遅れ、形も一周り小さいという。それでもさすがに本場もの、十分に季節の味を堪能できた。くるりと皮を脱ぐ潔さ、つるりと舌に触れる種の感触、控えめな甘さと香り、そして長崎生まれというせいか仄かに漂う異国情緒など…枇杷には他の果物とは一味違った魅力がある。
 
   果肉より威張ってゐるよ枇杷の種 (杜)
   さびしくて食む枇杷なれば種愛(いと)し(杜)

 幼いころ、母屋から少し離れた畑の隅に枇杷の木があった。足を病む祖母のために枇杷の葉を採りに通うのが私の役目だった。母はそれを竈の火で炙って祖母の足に貼っていた。また葉を煎じて万病に効くという枇杷茶として飲んでもいた。こんなに役立つ枇杷なのに、私の田舎では病人が絶えないという理由で屋敷内に枇杷を植えることを嫌った。いま思うに、病人のいる家で薬用に枇杷を植えていたので、いつの間にか枇杷のある家は病人が出ると言われるようになったのであろう。迷信とは殆どこのようにして生まれる。

   家跡は茶畑となり枇杷稔る (杜)
 
 枇杷の薬効が注目されたのは、かなり古くかららしい。インドに伝わる仏教経典のひとつ大般涅槃経の中で、枇杷の樹は大薬王樹、葉は無憂扇と紹介されており、優れた薬効があると伝えられている。また、奈良時代には鑑真和尚が中国から日本に枇杷の葉療法をもたらし、皇居や寺院で枇杷を用いた治療が行われていたといわれている。近代医学でも枇杷に含まれるビタミンB17はガン治療薬としても研究が進んでいる物質で、腰痛や肩こり、冷え性、皮膚炎、高血圧、糖尿病、リウマチなどの効果が期待できるという。また、枇杷の葉には殺菌力があり、葉を煮詰めた汁は、アトピーや水虫、やけど、切り傷、捻挫などにも効果があると言われている。

   枇杷の実を剥きつつ無口ふたりの夜 (杜)
   箱詰めの枇杷箱を出てから孤独 (杜)
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by 杜の小径  at 12:41 |  日記 |  comment (0)  |   |  page top ↑
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